村上春樹の88年の作品『ダンス・ダンス・ダンス』のなかに、主人公が自身のやっている物書きの仕事を「文化的雪かき」だというくだりがある。主人公が出会ったユキという少女の父親・牧村拓(この人も小説家)に会った時の会話だ。
「君は何か書く仕事をしているそうだな」と牧村拓は言った。
「書くというほどのことじゃないですね」と僕は言った。「穴を埋める為の文章を提供しているだけのことです。何でもいいんです。字が書いてあればいいんです。でも誰かが書かなくてはならない。で、僕が書いてるんです。雪かきと同じです。文化的雪かき」
『ダンス・ダンス・ダンス』(上巻)P332
文化的にしろ、文化的でないにしろ、世の中には「雪かき」的な仕事がたくさんある。誰かがやらないと困るのだが、やったところであまり評価されないような仕事のことだ。特に会社に勤めているとそういった仕事があふれるほどある。
効率性ばかりを追い求めている社員は、この雪かき仕事は無駄に思えてやりたがらない。しかし見ているひとはしっかり見ている。短期的な成果は出せなくても、こうした雪かき仕事をコツコツとやっている人を周囲はキチンと評価しているのだ。
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