昔、タウン情報誌の編集の仕事をしていた頃の話。
ある研修で、大手出版社の編集長の話を聞く機会がありました。そこの雑誌は毎号若い芸能人(主に女性)を表紙に使っていたので、質問タイムになった時にそのことを尋ねてみました。
私「表紙に若い女性芸能人を使っているのは、そのほうが売れるからですか?」
編集長「そうです。男性が若い女性に目がいくのは当然ですし、女性も同世代の同性を意識しています。なので、若い芸能人、特に女性芸能人を主に使っています。」
おおよそそんな回答だったと記憶しています。その頃、自分が携わっていた雑誌は、イラストのキャラクターをメインにしたものでしたので、“うちの表紙も変えたほうがいいかも”とか、“いや待て、そんな同じような表紙ばかりじゃつまらんだろう”といった考えが頭を渦巻いたのを覚えています。結局、若い女性をメインに起用することはその後もありませんでしたが…。
さて、「人の顔」がいかに訴求力があるか、についてです。
『7日間でマスターするレイアウト基礎講座』(視覚デザイン研究所編)では、モチーフの訴求度として、このように説明しています。
同じ面積の写真であっても、何が映っているかによって、まったく違う印象になる。そこには見る人の興味や志向が反映され、コミュニケーションが成立したり、途絶えたりする。広告づくりでキャンペーンキャラクター選びに膨大なエネルギーを費やすのはこのため。
一般的に人間が最も強い訴求力をもち、とりわけアップにした「顔」は最も強い。最も弱いのは雲や海などの風景であり、人の気持ちを静かにさせる。
この話は雑誌の表紙に限ったことではありません。会社のウェブサイト、ネット広告、チラシなど、まずは人の目を引くことが重要ですから、そこに「アップにした顔」を使うというのはとても効果的です。士業の方のウェブサイト、セミナー集客用のチラシ、営業用の名刺など、「人」が売り物の場合は、しっかりと顔を出すことが必須といっても良いでしょう。慎み深いというのは日本人の美徳かもしれませんが、こと集客に関してはその意識はひとまず脇においておきましょう。
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