このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。

「この焼け野が原に残った人だけがテレビを愛している人。」
マツコ・デラックス
音楽プロデューサーのつんく♂とタレントのマツコ・デラックスによるNHKの対談番組で印象的だった言葉。2018年の再放送だから、マツコがフジテレビ問題を知る由もないのだけれど、まるで今のテレビ業界を言い当てているような鋭い指摘です。
私が《シティ情報ふくおか》編集部にいた頃、フジテレビは全盛期でした。テレビ局担当だった私は地元局に通いましたが、福岡でもフジ系列局は活気に溢れ、カーディガンを肩に巻いたディレクターが「よぉ、城戸ちゃん!」と声を掛けてくれたものでした。吉本興業が福岡に事務所を構え、フジ系列局とオーディション番組を作り、華丸大吉がデビューしたのもこの頃です。
そんなフジテレビの黄金時代を知る者にとって、今の状況は信じがたいものです。ただでさえ、テレビ離れが進んでいるのに、キー局が制作もできず、広告も取れなくなれば、地方局の経営は厳しくなる一方でしょう。
でも、これは地方局が再び活気を取り戻すきっかけになるかもしれません。「やるしかない」状況が新しい価値を生む気がします。地方局の底力を見せつけてくれた人たちに育ててもらった私としては、 「この焼け野が原に残ったのは、個性豊かなローカル局だった」という結末を期待してやみません。(あづさ)
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