デジタル全盛期に最高売上のチェキ

インスタントカメラ

画像引用:富士フイルム

参考サイト:JBPress「フォーカス 変革の舞台裏」

先日、「チェキ」開発にまつわる興味深い記事を読みました。

チェキは富士フイルムのインスタントカメラで、ポラロイドカメラと同じくプリント機能がついています。1998年に初号機が登場した頃はプリクラが人気で、生徒手帳に挟めるサイズでプリントできるチェキは、女子高生を中心に人気を集めました。

ところが2000年年代に入るとデジカメが台頭、さらにカメラ機能付き携帯電話の登場で、インスタントカメラの技術的なメリットはすべて奪い取られてしまいました。周囲にはチェキ事業の撤退は時間の問題と思われました。しかし、チェキ関連部署の中ではまったく違った認識だったのです。それは一定の安定した需要があったからです。

ひとつは結婚式場。来賓を撮った写真をその場でプリントし、メッセージを書き込んでもらって、新郎新婦に贈る使い方です。手書きのコメントが温かみを感じると、人気を呼んでいました。

もうひとつは海外の観光地。例えばインドのタージ・マハールでは、チェキを肩から提げた現地の人が待ち構えていて、観光客の写真を撮影し、その場でプリントして売っています。旅の記念になるので、たいていの人が買うそうです。そんな底堅いニーズが世界各地に存在していました。

2010年代に入ると、スマートフォンが本格的に普及してきました。カメラといえばスマホのことを指す時代になって、撮影する写真の枚数が爆発的に増加する一方、消費者向けのデジカメ市場は急激にしぼんでいきました。

ここで富士フイルムは新商品を送り出します。スマホから直接データを転送できるチェキのプリンターです。友だちや家族、ペットなどの特別な一枚は、プリントして手元に持っていることで、その存在をより近く感じることができます。事実、スマホの透明なケースにチェキのプリントを挟んでいる人も少なくありません。その人にとってその一枚は、スマホで大量に撮りだめしたデータから、大切な「持ち物」に昇格していたのです。

デジタルの波に飲まれることなく、写真プリントの魅力にこだわって成長するチェキ事業。累計販売台数は8千万台を突破し、3期連続で過去最高売上を更新しています。チェキを含むイメージング事業は今や、富士フイルムグループの稼ぎ頭となっています。

ニュースレターをお送りしている会社を訪問した時、社長の机の脇の壁に「らくぱのぱ」が貼られているのを見つけました。お礼を申し上げると「何度か読み返そうと思って」と言ってくださいました。ニュースレターをメルマガでなく、印刷物で郵送していて良かった、と思いました。

この記事を書いた人
sonosho

株式会社ラクパ代表取締役。中小企業の顧客づくり支援家。【経歴】プログラマー5年、タウン情報誌編集者15年を経て、2006年に起業。2016年に法人化。主事業はニュースレター作成代行サービス。東証プライム上場企業から個人事業主まで延べ1,149号の制作実績(2024年2月現在)。近年はサイト制作にも注力。

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