手を抜くといい仕事ができる?

田村陽至著『捨てないパン屋』

手を抜くといい仕事ができる?

先日あるツイッターの投稿が話題になりました。

「日本人男性と結婚し日本在住8年のメキシコ人の同僚とランチ中、毎晩献立を考えるのが面倒だと愚痴ると「コンダテ!? メキシコのオンナ、コンダテナンカ悩ンダ事ナイヨ!? ホンマニアンタラナ!? テレビモ食ウ番組バッカリヤシ、ニホンジン、食ウコトシカ考エテナイネ!?」とキレられた。ごめんて」(@akotanbabytanさんのTwitter 2021.6.3投稿より)。

ネット上では、「メキシコ人のダンナがいます。毎日トルティージャとフリホーレスとチキン。野菜はトマト・アボカド・玉ねぎ・パクチーがあれば基本オッケー」「プエルトリコ出身の友人宅は、毎日チキンとビーンズ」「ドイツ人と結婚した人曰く、夕食はサラミ、パン、チーズ、人参、以上」といったコメントが寄せられていました。この投稿にはちょっと笑ってしまいましたが、確かに日本人の食に関する執着度は、諸外国に比べるとすごいかもしれません。

これが家庭内の話なら笑い話で済むのですが、外食産業全体で考えると、そうはいかないようです。

分かりやすい例がパン屋です。日本のパン屋の多くが、食パン、ハード系パン、惣菜パン、スイーツ系パンなど、多種多様なパンを店頭に並べています。消費者側からすれば、パンを選ぶ楽しみ、食べる楽しみがあって良いことに思えるのですが、実際は多種多様なパンを作ることで、売れ残りが発生し、廃棄せざるを得ないのが現実です。社会全体がSDGsを意識しつつある今、この状態には、違和感を感じてしまいます。

「ブーランジェリー・ドリアン」の店主・田村陽至さんもそこに疑問を持ちました。そして店を1年半休業して、欧州にパン修行に出かけたのです。修行を終え、パン店を再開する時に次のことを決めました。「20種類あったパンを4種類(現在は2種類)に減らし、売るのは500gか1kgのパンだけ。その代わりに最高の小麦とルヴァン天然酵母を使う」。本人曰く?手抜きする代わりに材料にはこだわった?そうです。

その結果、かつては1日18時間も働くことがありましたが、今は週6日間8時間労働。8人いたスタッフも今は夫婦2人だけ。それでも以前と同じく年間2500万円稼げているとか。今は時間の余裕が生まれ、心の穏やかさが以前とはまったく違うそうです。

あなたもこの本からヒントを見つけてみませんか?(正)

この記事を書いた人
sonosho

株式会社ラクパ代表取締役。中小企業の顧客づくり支援家。【経歴】プログラマー5年、タウン情報誌編集者15年を経て、2006年に起業。2016年に法人化。主事業はニュースレター作成代行サービス。東証プライム上場企業から個人事業主まで延べ1,149号の制作実績(2024年2月現在)。近年はサイト制作にも注力。

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コメント

  1. 高田 千草 より:

    この本素晴らしい内容ですね!まさにそうですね!無駄がなく少ない人数でいかに効率よく売り上げをあげるか?私も常に考えて今があります。それは、さんざん効率の悪い仕事に追われていたからこそ生まれたのだと思います。忙しければいい、長時間働けばいい、たくさん稼げばいい、いろんなものを売ればいいという固定観念を捨てていくことがゆとりと幸せにつながるのではないかと思います。

    • sonosho shoichiro より:

      高田様
      コメント投稿ありがとうございます!

      「私(私たち)は何のために働くのか?」と自問自答してみると、
      出てくる答えは人それぞれだと思います。
      この本の筆者は「豊かに安心して生活するため。それによって幸せになるため」という答えでした。

      そして、さらに「では、このままのペースでがむしゃらに働いて、その先にゆとりのある豊かさを想像できるだろうか?」と自分に問いかけた答えが、この本に書かれていました。まさに高田さんのおっしゃる通りですね。

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