あなたにとって、今年印象に残ったできごとは何でしたか?
私の超個人的な10大ニュースはこちらの記事にまとめてみました。このなかでも「生成AI」の進化は本当に驚きました。
私のAIの使い方は、自分の文章のテイストを変えたり、テーマを広げる時のアイデア出しに使うことが多いです。今のAIなら、文章作成を丸投げすることも可能ですが、生成された文章を読むと”印象が薄い”と感じることが多く、結局、手直しに時間がかかってしまいます。それなら、最初から自分で執筆したほうが(上手いかどうかはともかく)早く書けます。
AIが生成する文章について考えていたら、ある言葉を思い出しました。それは私が毎月一回発行しているニュースレター《らくぱのぱ》第77号(2012年12月)に掲載した、作詞家・なかにし礼さんの言葉です。
以下、その号の私の文章を再掲載します。
(前略)ネットで見つけたどこにでもあるネタをコピペして作った文章では、読んだ人の気持ちは何も動かないのではないでしょうか?少々カゲキだったとしても、ご自分の気持ちや考えをしっかり伝えることがとても大事だと思います。
そんななか、テレビの対談番組で作詞家のなかにし礼さんが非常に的を射た言葉を使っておられました。(中略)インタビュアーの佐野元春氏の「ソングライターとして、自身の歌の影響力について意識なさってきましたか」という問いに対して、なかにし氏が語ったのはこうです。
「(自分の書いた)歌が人々の耳に入り、心にどんな卵を産み付けるかは分からないけれど、もし自分の書いた歌が有精卵であったら ─ ひらめきのある言葉が有精卵であり、テクニックだけで生み出されたものは無精卵─ かならず人々の心の中に別の卵を産みつけ、その人たちの血となり肉となり、命となり、何らかの影響を与えるに違いない ─そういう確信、願い、祈りが歌を書かせているのです。」もう、この言葉にグッときました! 「有精卵」というたった3文字の比喩で、私が思っていたことをズバッと言い切ってくれたのです。御年74歳(注:記事掲載時の年齢/2020年に82歳で逝去)、50年にわたって第一線で活躍された方の言葉はさすがです。
と同時に、果たして自分の書く文章、そして私が納めているニュースレターは有精卵といえるのか? いろんな意味で考えさせられる対談番組でした。
弊社ニュースレター《らくぱのぱ》第77号(2012年12月)より
生成AIがどれだけ進化を遂げても、有精卵にまで成るでしょうか。人の書く文章は有精卵に成り得ます。自分が書く文章が、ほんの少しでも人の心に何かを植えつけられるものになるよう、来年も精進します。
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