このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。
「同じ時代を生きている人々や、生きたかった人や、生きようとした人々に、物語を通して祈りを込めたい。」
─杉咲 花
2024年の終わりに書き残したいこと…をとりとめもなく考えていたら、GQ JAPANで今年のベストアクター賞を受賞した、杉咲花が語るシーンを見つけました。
うちの次男と同じ1997年生まれ。映画『湯を沸かすほどの熱い愛』を観て以来、私は彼女の演技が大好きです。受賞会見で「作品づくりで大切にしていること」を問われた彼女は、冒頭の言葉の前にこう答えます。
作品に関わるということは、一つの意思表明だと私は思っています。…今も世界のどこかで起きている戦争や虐殺のことについて考えている自分がいて…そういうものにノーを突きつけたい。自分がどういうふうに行動していくべきかを考えながら、仕事をしていきたいです。
杉咲花
受賞コメントで、自身の成長や周囲への感謝を口にする俳優は多いけれど、世界に対する自分の考えを述べる人は、日本では見かけません。
杉咲花の最大の魅力は、常に一人の人間としてのメッセージを携え、女優という仕事に取り組んでいることでしょう。
長引く、ウクライナ侵攻やパレスチナ問題。進まない、災害復興。だんだん話題を避けて生活するようになっていました。いつまで続くんだと憂えても、こんなところで話したって…と。「対岸の火事ではないと思う」と言い切る杉咲花の姿を観て、ああ、2024年の最後に書き残す言葉は、これにしようと決めました。
2025年に世界に平和が戻ってくるよう、社会に思いやりが増えるよう、私も意思をもって自分にできることを続けていきたいです。(あづさ)
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