「生き続けている限り、自分という人間についての新しい発見はあるものだ。」

このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。

走る

「生き続けている限り、自分という人間についての新しい発見はあるものだ。」

村上春樹『走ることについて語るときに 僕の語ること』より

作家の村上春樹さんはほぼ毎年、夏はトライアスロン、冬はフルマラソンに挑戦しています。小説を書くための身体能力を整え、向上させるためと彼は言いますが、日々の練習はレースを目的に組み立てられており、なかなかハードな内容です。

レースに出るためのトレーニングと本業を両立させる難しさは、マスターズアスリートなら誰しも感じるところ。しかも、どんなに努力したところで社会的な評価は得られません。「趣味ごときに、キツイ思いをしなくても…」と言われれば、それまでです。肉体的なピークを過ぎれば、成績も下がるし、凹むことも増えます。彼がなぜレースに拘るのか、それが私の最も知りたいことでした。

ヒントは文中に多くありました。「尽くすべきは尽くした、耐えるべきは耐えたと、自分なりに納得するため」「失敗や喜びから、具体的な教訓を学び取っていくため」「レースそのものを楽しむため」。でも結論には届かず、彼自身も「最終的に得心のいく場所に到達する」ために、レースに挑み続けているのだとか。

私もマスターズ競泳22年目を迎えました。今年は生活スタイルが変化し、仕事と水泳の両立が難しくなります。環境的にも体力的にも、レースのための練習がどれだけ積めるかわからないけど、私も尽くすべきは尽くしたい。その先に「自分という人間についての新しい発見」があるかもしれないから。(あづさ)

この記事を書いた人
Azusa

株式会社ラクパ専属ライター。タウン誌≪シティ情報ふくおか≫編集者として、特集のほか、地元のテレビ番組・お笑い・祭りのページなどを担当。地域色豊かな誌面作りを目指す。2006年、ニュースレター作成代行「ラクパ」のライターとして活動開始。クライアントの個性を活かし、顧客づくりのための原稿を執筆中。趣味は競泳、専門種目はクロール。マスターズ大会での自己ベスト更新を夢見て、仕事と家事の合間にトレーニングに励む毎日。

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