「戦略」をテーマにした本を読むことが多いです。『ストーリーとしての競争戦略』(楠木建著/東洋経済新報社発行)からもかなりヒントを頂きました。
この本では、戦略は1つ1つの打ち手だけでは形にならず、時間的経緯のなかで、いかにその戦略が有効に働いていくかが重要だと説いています(この時間的経緯を「ストーリー」と呼んでいます)。
さらに、「起承転結」というストーリー上で言うと、起にあたる「コンセプト」、そして転にあたる「キラーパス」が、戦略上、最も重要だということです。
まずコンセプトについてですが、コンセプトを分かりやすい言葉に置き換えると「あなたは本当のところは、誰に何を売っているのか」ということです。つまり見た目上の商売が何かでなく、本当のところは何なのか?それを突きつめて考えたものがコンセプトです。具体例を下表にしてみたので、空欄にぜひあなたのお仕事のコンセプトを記入してみてください。
次にキラーパスです。この本で言うキラーパスとは「競争優位のための源泉要素」のことで、実は優れたキラーパスほど、他社が真似しにくい、あるいは真似したくないものになっています。
ここだけ聞くとなんだか難しいのですが、実例を聞くと分かりやすいです。アマゾンを例にすると「大規模な物流センターとそこでの効率的なオペレーション」がキラーパスに当たります。
一般的なEコマース会社は、多くの在庫や人員を持つことを嫌って外部に委託します。その身軽さこそがEコマース企業にとって重要だからです。しかしアマゾンはその逆を行っています。投資家からは「それではネット企業ではない」と批判され、一時は株価が下がったらしいのですが、それでも自社の物流システムへの投資をやめませんでした。
その結果どうなったでしょう?巨大な物流センターと効率的なオペレーションによって、受注後すぐに発送できるようになり、顧客満足度は飛躍的に上がりました。このキラーパスは、他社から見れば「一見して非合理」にみえるというのがポイントです。
…とほんのさわりだけですが、興味深い内容だと思いませんか? 私も自分の仕事でどう応用するか考えながら読み進めました。500ページを超える本なので読むのが少し大変かもしれませんが、もしゆっくり時間が取れるようでしたら、ぜひ読んでみてください。
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