「あんまり頑張らないで。でも、へこたれないで。」

このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。

「あんまり頑張らないで。でも、へこたれないで。」

by 樹木希林

私は両親と祖父母のいる家庭で育ちました。私の父は偏屈でよく怒鳴る人でしたが、気丈な祖母と母のタッグに常に応戦されていました。祖母は12歳までアメリカで育ったせいか、当時の女性には珍しい男女平等の考えと、喧嘩の最中でも相手を笑わすユーモアをもっておりました。

小学生になり核家族の友達に憧れていた頃、『寺内貫太郎一家』というドラマが始まりました。すぐ卓袱台をひっくり返す貫太郎はうちの父そっくりで、沢田研二のポスターを見ては「ジュリ〜っ!」と叫ぶ剽軽な婆ちゃんはうちの祖母そのものでした。私は貫太郎一家を自分の家庭と重ね合わせ、我が家の小さな騒動で物語を創るようになりました。脚本を手掛けた向田邦子の作品も読み、文章を書く仕事に興味をもっていきました。

以来、婆ちゃんを演じた樹木希林さんのファンでした。その希林さんの晩年の言葉です…「物事には表と裏があってね。どんな不幸に出会っても、裏側を覗いてみれば、灯りが点っていたりするものよ。だからね、物事を面白く捉えて愉快に生きてくださいな。あんまり頑張らないで。でも、へこたれないで」。祖母と希林さんの可笑しくも凛々しい生き方を真似したいと思います。

この記事を書いた人
Azusa

株式会社ラクパ専属ライター。タウン誌≪シティ情報ふくおか≫編集者として、特集のほか、地元のテレビ番組・お笑い・祭りのページなどを担当。地域色豊かな誌面作りを目指す。2006年、ニュースレター作成代行「ラクパ」のライターとして活動開始。クライアントの個性を活かし、顧客づくりのための原稿を執筆中。趣味は競泳、専門種目はクロール。マスターズ大会での自己ベスト更新を夢見て、仕事と家事の合間にトレーニングに励む毎日。

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