時間に追われていると感じたら…
このブログでも、これまでに「生産性」をテーマにしたことは何度もあります。個人事業主・中小零細企業から大企業まで、こぞって生産性を上げることを目標に掲げているように思えます。生産性の低さが今の日本経済の低迷を招いた主な原因だという意見もよく聞きます。
ただ、最近少し気になるのは、私たちの生き方にまで生産性向上や時間効率を良くすることを突きつけられているのでは、ということです。それを端的に表した言葉が「タイパ」。タイムパフォーマンスを略してタイパです(略語を使いがちなのも時間効率のため?)。しばらく前にニュース等で話題になったのが、ドラマを倍速で観たり、ファスト映画をYouTubeで観たりする人たちが増えていること。ドラマや映画が好きな私からすれば、信じられない話ですが…。
そんな生産性重視の時代に生きる私たちを、少し立ち止まらせ、考えさせてくれる本が出版されました。オリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』です。バークマン氏は英国ガーディアン紙の記者。元々は本人いわく?生産性オタク?だった彼が、この本では「生産性は罠だ」と言い切るまでになっています。興味深く読みました。
バークマン氏は、「なぜいつも時間に追われるのか」という問いに対して、制約のパラドックスという言葉で説明しています。時間をコントロールしようと思うと、時間のなさにいっそうストレスを感じるというわけです。ですので、まずは現実を直視し、時間は限られていること、自分にできることは少ないことを認めることから始めるように説いています。
生産性の罠が怖いのは「本来は生産性を考慮すべきでない余暇の時間にさえ、有意義なものを求めてしまう」ことです。余暇に愉しむスポーツや趣味はそもそも生産性から離れた存在であるはずです。上達することや結果を残すことを目的にするのでなく、「何のためでもない」ことを楽しむのが余暇のあるべき姿というわけです。
より良い人生を生きるための示唆に富んだ本ですので、じっくり読むことをお勧めします。
が、どうしても時間が取れず、タイパ優先の方は、巻末に用意されている「有限性を受け入れるための10のツール」だけでも試してみてください。(正一郎)
コメント
タイムパフォーマンスを略して「タイパ」とは、日本人の奥ゆかしさの微塵もありませんね。最近の若い人が好む曲は、イントロ”0”秒でいきなり歌が始まると聞いて、名曲はイントロを聞けばわかるのに勿体ないことだと思っています。ただ暗闇に光明があるとすれば、若者も俳句の番組を観ていることです。落語の名人は間のとりかたがうまい・・・。日本人たれ。
内野様 ブログへのご感想、ありがとうございます!
70年代?80年代の歌謡曲などは特に印象的なイントロが多かったように思います。
時代は変わっていくものなので、これも仕方ないかもしれません。
そのうち一周回って、また長いイントロが流行る時代がくるかも(笑)。