ビジネス書に時折り引用される物語の1つに「ガルシアへの手紙」というのがあります。元々が短い物語なので全文掲載しやすいですし、そもそもこの物語の本質は「企業家精神とは何か?」だと思いますので、そこがビジネス書向きですよね。さて、その「ガルシアへの手紙」とはこんな物語です。
18世紀末、キューバの独立をめぐって統治国であるスペインと米国が戦争に突入しようとしていました。米国マッキンレー大統領は、スペインとの戦いに勝つためには、キューバの反乱軍との連携が必要だと感じ、反乱軍を率いるガルシア将軍へ書簡を出すことにしたのです。しかしガルシアがどこにいるのかはっきりとした情報はありません。キューバの山奥の要塞にいるらしいのだけれど、それがどこかは分からないという状況でした。スペインとの関係は一触即発。急を要していました。さあ、どうすればいい? そんななか大統領に進言する者がいました。「ガルシアを見つけ出せる人間がいるとしたら、それはローワンという男です」。ローワンはすぐに呼ばれ、大統領は彼に書簡を託したのでした。
この実話をもとに、教育者エルバート・ハバードは『ガルシアへの手紙』を著しました。彼はこう綴っています。
「私は、ローワンという男がどのようにガルシアへの手紙を受け取り、それを防水の小袋に密封し、彼の胸に革ひもでしばりつけ、4日後の夜に小舟でキューバの海岸に上陸し、ジャングルの中に消えていき、敵地を歩いて横断し、ガルシアに手紙を渡し、3週間後に別の海岸に現れたかを、詳しく語ろうとは思わない。ただ、言いたいのは、次のようなことだ。それはマッキンレー大統領がローワンにガルシアへの手紙を渡したが、その時ローワンは、その手紙を黙って受け取り、「ガルシアはどこにいるのですか?」と聞かなかったということである。(中略)若い人たちに必要なのは、学校における机の上の勉強ではない。ローワンのように自らの力で物事に取り組もうという精神を教えることである。」
…いかがでしょうか? この英雄談は?軍隊という特別な組織の中だから?と言ってしまうこともできるでしょう。それでもこの話の本質は、「目の前のことを自分のことと受け止め、他人の力をあてにせず、自ら問題に立ち向かっていく勇気」であり、「自分が見込まれた以上、その信頼に何としてでも応えるという心構え」だといえます。まさに企業家精神ですよね。
↑この本では訳者がガルシアへの手紙を解説しているので一番分かりやすいと思います。
↑ガルシアへの手紙は、第19通「読書の価値」の追伸のなかで全文紹介されています。
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↑マーケティングの大家が著した「成功するための行動」をテーマにした本。ガルシアへの手紙はP194〜P204にわたって全文掲載されています。
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