ものごとには何でも表と裏があると思いますが、特に政治とテレビの世界はそれが極端かもしれません 今回紹介する映画は、米国で伝説となったTVインタビュー番組の裏側を描いた映画『フロスト×ニクソン』です。
米国歴代大統領のなかで唯一任期中に辞任したリチャード・ニクソン。ウォーターゲート事件で引責辞任はしたものの、国民への謝罪がないまま表舞台から姿を消していた。しかし辞任から3年後、イギリスでバラエティ番組の司会をしているデビッド・フロストが彼の単独TVインタビューを敢行することに。ニクソンにとっては政界に戻るきっかけになるし、フロストにとってはジャーナリストとして全米に進出する大きな一歩となるのだが…。
<みどころ>私は仕事柄、インタビュー取材には慣れていますが、ニュースレターの取材はあくまでも相手の魅力を引き出すもの。
一方、ジャーナリストのインタビュー取材は、いかに相手に切り込み、自分が思っている言葉を言わせるかが勝負です。
この映画を評して「言葉のボクシングだ」という記事がありましたが、二人の舌戦はまさにボクシングそのもの。観ていてしびれるほど緊迫した戦いでした。
二人が交えるのは拳ではなく「言葉」。自分が優位に立つために、どんな言葉でコーナーに追い込み、どんな言葉のジャブやストレートを繰り出すか。途中でセコンド役であるブレーンがタオルを投げそうになるのもボクシングそのものでした。
「政治においても、経営においても、トップに立つ人間がどんな言葉を使って相手を説得するか」…そこに見応えを感じる一本です。
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