このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。
「前を向いて歩んでいれば、必ずゴールにたどり着ける。360度、前だと思ってる。」
上野由岐子
「東京オリンピックはやれると思うか」という問いを、アスリートに向ける番組のなんと多いことか。やりたいに決まってるじゃないか。オリンピックを目指して努力を重ね、今年開催されなければ、選手生命が終わる人もいるのだから。なのに「自分一人で決められることじゃない」とか「医療従事者の負担を思えば、簡単に答えられない」とか配慮する選手たちの姿が切ないです。
そんな中、「オリンピックがなくても大丈夫。あっても準備はできてます」と笑顔で答えた上野由岐子さん。肝の据わりように驚かされました。
一昨年、彼女は試合中に大怪我をしました。「なるべくしてなった」と振り返ります。ソフトボール日本代表の投手として、アテネで銅、北京で金をとったオリンピアンも今年で39歳。怪我をする前は、次のオリンピックに出たいのか、よくわからなかったそう。悶々とした気持ちで練習し、試合に出た矢先、打球が顔面に直撃して救急搬送されました。「あれで目が覚めた」と上野さん。下顎骨骨折の手術痕は今も遺っています。
先のことはわからない。だけど一日一日を精一杯生きていれば、必ず自分らしい人生が開けるはず。コロナ禍に前を向かせてくれる名言だと思います。(あづさ)
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