これは従来のビジネスモデルから外れたプリンターなのか!?
先日、プリンターを買い替えました。自宅兼事務所の弊社には、大きな複合機を置くスペースは無いので、机上に置ける大きさのインクジェットプリンターを使っています。
インクジェットプリンターはお手軽で使いやすいのですが、インクの消耗が激しいのが難点です。しかも純正品のインクは価格が少々お高めなので、これまで代替品のインクを利用していました。
ビジネスモデル構築に関心がある方なら、プリンターをめぐるビジネスモデルについてもご存知かと思います。「プリンター本体は手頃な価格に抑えて消費者が購入しやすくし、その後に販売するインクで利益を得る」というモデルです。インクは消耗品なので、継続的に利益が得られることになります。また、メーカーごとにインクカートリッジの形状が異なるので、A社のプリンターを購入したら、ずっとA社のインクカートリッジを購入せざるを得ません。
20世紀初頭にカミソリの替え刃を発明したジレット社が始めたことで「替え刃モデル」と呼ばれるこのビジネスモデルは、その後、ポラロイドカメラ、家庭用ゲーム機、コーヒーマシンなど様々な分野に応用されてきました。
ところが、今回新しいプリンターを探していて、ちょっとした変化に気が付きました。昨年末に発売されたCanon社の新プリンターはこれまでよりも高額ですが、インクの消費量を抑えて1枚当たりの印字コストを半分以下にしています。しかもインクカートリッジもこれまでの半額。両方合わせるとランニングコストが4分の1ほどになっています。迷わずこの機種を購入しました。
ここからは私の想像ですが、C社にとって、インク代替品を製造するメーカーの存在は悔しいものだと思います。インク使用量を抑えたプリンターを開発し、他社に利益を奪われるくらいなら、利益幅を抑えてでも自社のインクを使って欲しいという意図が新製品に現れているように感じました。
優れたように見えるビジネスモデルにも穴はあります。一度作ったビジネスモデルに安住せず、新たな道を模索する姿勢にメーカー魂を感じました。(正一郎)
コメント