JTBパブリッシングが発行している旅行ガイドブック「るるぶ」はご存知ですよね。2010年には発行点数世界最多のガイドシリーズとしてギネス世界記録にも認定されるほどで、旅行ガイドブック業界での覇者でした。しかしコロナ禍によって最悪期には売上の95%が減少、1973年の創刊以来の危機に直面したそうです。
そんななか、JTBパブリッシングが活路を見出したのが、企業や病院、学校などの会社案内制作です。依頼された会社に企画提案し、取材や誌面制作を行ない、るるぶ特別編集版として完成した印刷物を納品するスタイルで、販売はしません。
会社案内といっても、一般的なものとはデザインも構成もまったく異なるものです。例えば、給油所などエネルギー事業を手掛ける関彰商事が作った23ページの会社案内には、社員29名が誌面に登場して、1日の仕事紹介や、営業所周辺のお薦めグルメを紹介しています。誌面を見ると、まさに「るるぶ」の誌面!
この会社案内は、就活生や得意先に好評で、コミュニケーションツールとして、とても役立っているのだそうです。
ここで重要なのは、JTBパブリッシングが、どうやって活路を見出したかです。JTBパブリッシング社社長・盛崎宏行氏は「我々のコアコンピタンス(中心的な競争力の源泉)は、一つ一つのコンテンツ。そしてターゲットに向けて編集する力だ」と語っています。自社の強みをこうして一言で即答することは、意外に難しいものです。
コロナ禍が収まっても、既存事業だけに頼っていたのでは、先細りしてしまうかもしれません。かといって闇雲に多角化するのはリスクが高すぎます。まずは、自社のコアコンピタンスが何なのか? それを一言で表すならどんな言葉になるか? を認識し、それを活かせる業界や分野がないか、リサーチしてみるのはいかがでしょう。
私自身、雑誌編集の経験を活かして、ニュースレター作成代行サービスを始めました。そのコアコンピタンスを更に深掘りし、今後の事業展開に活かそうと思います。(正一郎)
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