
2025年2月6日付の西日本新聞の春秋で、宮若市の広報誌『宮若生活』のことが取り上げられていました。昨年12月号の特集記事が「勇気ある挑戦」と評価され、広報誌全国コンクールの福岡県代表に選ばれたそうです。
その特集「時代を問う、私の心が動き出す」は、市の不名誉な出来事がきっかけ。2023年11月、宮若市長による市職員へのハラスメント行為が表面化し、全国的なニュースとなりました。その1年後に企画された今回の特集は、市民へのインタビューを通して「時代の変化と人権」を考える内容となっています。市長にもインタビューを行ない、市長は反省と再出発の思いを真摯に語っています。なんと切り口の鋭い企画でしょう。
私は年1回、地方自治体向けの広報誌作成講座の講師をしており、市町村が発行する広報誌を読む機会が多くあります。しかし、この『宮若生活』のように、自分たちの行政に対して、ここまで切り込んだ企画は滅多にありません。この広報担当者の話をぜひ聞きたいと思い、すぐに連絡を取り、後日、宮若市役所を訪問しました。
担当の端倉大輝(はしくらだいき)さんは入所4年目の26歳。広報担当になって、まだ2年目です。月刊の『宮若生活』は毎号32ページほどあり、特集ページだけで12ページあります。その企画から取材・撮影・原稿執筆・紙面レイアウトまで、ほぼ1人でこなしています。広報担当になるまで編集経験は一切なかったそうです。私は元雑誌編集者なので、それがどれほど負荷のかかる業務かよく理解できます。
端倉さんに今回の企画について聞いてみました。
「今回の企画はうちにしかできないと思いました。この特集では”人権はこうあるべき”とは言ってないんです。昔はこうだったけど、今はこんな風に変わってきていますよね、という感じで伝えています。こういうテーマは、家族や友人と話す機会があまりないと思うので、この特集を読んで、身の回りのハラスメントについて考えるきっかけになれば良いですね。」
端倉さんの想いは、特集の編集後記にこう綴られています。《私は、この特集を通して皆さんに「あなたは時代の変化についてどう考え、そして、行動をしますか」と問いかけたいと思います》ーあなたならどう答えますか?
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