このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。
「その時間が楽しければ自ずと踏ん張れる。」
───イ・ソンミン
9年前、韓国で社会現象まで起こしたドラマ『ミセン』。私が俳優イ・ソンミンの魅力を知った作品です。先日、彼が自身について語る番組がありました。
イ・ソンミンは20歳で地方の劇団に入り、30代半ばでソウルに出てくるまで、収入の無い生活を続けたそうです。今では韓国を代表する俳優ですが、俳優志望の若者たちに言葉を求められると「君の夢が叶うまで、10年かかるかも、20年かかるかも、叶わないかもしれない。だから冷静になって、考え直して」と言うそうです。時に憤られるそうですが、本当の厳しさを知っているから、無責任に希望をもたせるようなことは言えないと。
ではなぜ、イ・ソンミンは貧困の中で役者を続けられたかというと「僕は芝居をしている時が一番楽しいんです。稽古中は空腹も寂しさも感じなかった。どんなに過酷な状況でも、その時間が楽しければ、自ずと踏ん張れるんです」。
54歳で「俳優イ・ソンミンとしての夢はもう全て叶いました」と言い切る潔さ。今も演じる時間が一番楽しいそうです。
調子が良い時も悪い時も、変わらぬ情熱で仕事を続けるのは簡単ではないけど、私も「自分の仕事が気に入ってます」ぐらいは、いつも言える人間でいたいと思います。(あづさ)
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