田舎暮らし、半年。

らくぱのぱ
まだ種類は少ないけど、切り花用の花畑も進行中。

この家に引越して、半年が経った。家を片付け、草を刈り、花の苗を植えた。採れたて野菜が食卓に並ぶようにもなった。

しかし、決して順調ではない。引越して程なく、屋根裏にイタチが棲みついた。夜行性だから夜は出かけているが、朝方戻って来る。足音で家族全員、目を覚ます。2階の夫の部屋の天井裏がイタチの寝床らしく、ドタバタするから、夫が寝不足になってしまった。害獣駆除を頼むのも気が引けて、ネットで調べて、木酢液を染み込ませたタオルを屋根裏のあちこちに下げてみた。

結果は4日ほど静かだったが、5日目に帰ってきた。が、明らかに以前とは帰宅の様子が違う。木酢液と人間の気配に警戒したのか、忍び足で屋根裏を進み、夫の部屋の上で音を立てずに眠る。朝帰りをした時の息子たちを思い出して、少し可愛くもなった。だが、油断はできない。

次に洗濯機が壊れたが、これは母が小屋に仕舞っていた洗濯機を磨くと、遜色なく使えて助かった。その次は風呂の給湯器が壊れ、湯が途中から水に変わるようになった。井戸水だと機械の劣化が早く、耐久年数も短くなるらしい。これには新しい給湯器を注文するしかなかった。受注生産で1カ月待ち。寒くなったから、給湯器が届くまで母は銭湯へ通い、私たち夫婦は湯が水に変わる間にシャワーを済ます技を覚えた。その次は大雨の日に廊下に雨漏りを見つけたが、これは雨樋に土が溜まったせいだとわかり、梯子をかけて樋の掃除をし、解決した。

らくぱのぱ
樋の掃除も、定期的なタスクに入れました。

こっちへ来てから、深く悩まないようにしている。悩んだところで状況は変わらない。前へ進むしかないのだ。それでも立て続けに問題が起きて、時折、深い溜息をつくようになった。田舎暮らし半年目の最優先課題は、自分のモチベーションアップだと気がついた。

考えた末、久々にちょっとした買い物をした。家庭用焼却炉だ。ホームセンターから連れて帰った焼却炉は、どこか愛嬌があった。大きな口に乾いた枝を入れてやると、喋るように火が爆ぜる。そこで「カルシファー」と名前を付けてやった。『ハウルの動く城』に登場する、ひねくれ者の火の悪魔だ。

カルシファーよ。どうか、みんな元気で、イタチには退去してもらって、これ以上家電も壊れないで、毎日愉快に暮らさせておくれ…と虫の良い願い事を並べると、人の顔に煙をかけて「パチ、パチ。」といい加減な返事をするのである。

これがカルシファー。口は悪いけど、最後まで家を守るのです。
この記事を書いた人
Azusa

株式会社ラクパ専属ライター。タウン誌≪シティ情報ふくおか≫編集者として、特集のほか、地元のテレビ番組・お笑い・祭りのページなどを担当。地域色豊かな誌面作りを目指す。2006年、ニュースレター作成代行「ラクパ」のライターとして活動開始。クライアントの個性を活かし、顧客づくりのための原稿を執筆中。趣味は競泳、専門種目はクロール。マスターズ大会での自己ベスト更新を夢見て、仕事と家事の合間にトレーニングに励む毎日。

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