最近、新聞のテレビ欄や広告、書店の棚を眺めていて感じるのは、高齢社会に備えるための情報が増えてきたことです。それは日本の社会が実際に高齢社会になったことに加えて、自分自身が老後に備える歳(今年55歳になります)になったからでしょう。
無意識のうちにそうした情報に目がいくようになったのだと思います。なかには老後の不安を掻き立てるだけの情報もありますが、私たちが知りたいのは、「自分が高齢者になった時にどんなライフスタイルを送ることができるのか。そのために今できることは何か」ということです。
『東大が考える100歳までの人生設計 ヘルシーエイジング』 東京大学高齢社会総合研究機構監修/幻冬舎/1,500円+税/2017年3月15日発行
今年3月に発行された『東大が考える100歳までの人生設計 ヘルシーエイジング』はそうした問題を網羅的にとらえたわかりやすい本です。
監修は東京大学高齢社会総合研究機構。「活力ある超高齢社会」を構想・実現するために創設された学部横断的教育研究組織です。
この本が書かれた目的は、これから定年を迎える、あるいはすでに定年を迎えた方が、自分の生活をデザインする際の手引になるようにまとめた「ヘルシーエイジングを実現するための生活の指針集」となっています。
健康・生活環境・いきがい・制度活用と老後に必要な情報がコンパクトにまとまっているので、予備知識をざっくりと身につけるにはお勧めの本です。
この本が提唱しているヘルシーエイジングとは、「寝たきりにならず、できるだけ元気に自立的に生涯を全うする」、つまりピンピンンコロリの実践です。東大の研究者が書いたと聞くと、小難しい理論かと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、
- 栄養バランスは、30品目主義より一汁一菜主義で
- 健康維持のための運動にはストレッチ、筋トレ、バランス運動、有酸素運動の4つを組み合わせる
- 健康寿命の分かれ道は、歯
- 夫婦もいつかは相手に先立たれ一人暮らしになるが、その時は子と同居するのでなく、独居して外に友達を作る
- 退職金の資産運用としてのアパート経営は儲からない
など、いたってシンプルな提案ががほとんどです。
自分自身の老後の指南書として読んでも良いですし、高齢者向けの商品・サービス開発をする立場の人がヒントを得るために読んでも何かしら参考になる部分が多いと思います。
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