このコーナーでは経営や生き方のヒントとなるような映画を紹介しています。今回は、インドのヒューマンドラマ『エンドロールのつづき』です。
『エンドロールのつづき』
Last Film Show
<あらすじ>9歳のサマイ(バヴィン・ラバリ)はインドの田舎町で、学校に通いながら父のチャイ店を手伝っている。ある日、家族で映画を観に行くことに。初めての映画にすっかり魅了されたサマイは再び映画館に忍び込むが、チケット代を払えず、つまみ出されてしまう。それを見た映写技師ファザルは、料理上手なサマイの母が作る弁当と引き換えに映写室から映画を見せることを提案するが…。
<コメント>まるで『ニュー・シネマ・パラダイス』のような設定ですが、実は、パン・ナリン監督の幼少期の経験を基にしているそう。少年時代に一生を捧げるものに出会えることは、どれほど幸せなことでしょう。ただし、この映画ではインドの身分制度や、片田舎という環境が、大きな障壁となって立ちはだかります。サマイ少年に対し、先生は「何かを成し遂げたいなら、やるべきことが2つある。町を出ることと、英語を学ぶことだ」と諭します。サマイの父は、今はチャイ売りに身を持ち崩していますが、出自は高貴なバラモン層。映画は低俗なものだと見下します。幼いサマイは、父に反抗できないのですが、子どもなりの知恵と行動力で、映画に対する愛情を少しずつ形にしていきます。その様子は見る者を清々しい気持ちにさせます。映画愛に溢れた一本です。
- 『エンドロールのつづき』
- 原題:Last Film Show
- 監督:パン・ナリン
- 出演者:バヴィン・ラバリほか
- 上映時間:112分
- 製作国:インド・フランス
- 日本公開:2023年1月20日
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