毎月初めは映画の話。今月の映画は『瞳の奥の秘密』。
アルゼンチン映画を見るのは初めてだ。しかもアカデミー外国語映画賞受賞とのことで期待して観たが、これがなかなか骨太な作品。
【あらすじ】刑事裁判所を定年退職したベンハミンは、有り余る時間を使って、彼の人生で未だ忘れることの出来ないある殺人事件を小説にしようと決意する。そしてかつての職場を訪ね、当時の彼の上司で、今では検事に昇格している女性イレーネと再会を果たす。2人が関わった事件が起きたのは、25年も前の1974年。銀行員の夫リカルドの最愛の妻が自宅で暴行殺害された事件。やがて捜査は暗礁に乗り上げ、そのまま1年が経った頃、ベンハミンは駅で容疑者発見に執念を燃やすリカルドを偶然目にする。その姿に触発され、イレーネとともに捜査を再開したベンハミンは、ついに事件の核心へと迫るのだったが…。
主人公のベンハミンは、定年退職後に小説を書き出すのですが、その小説の基となる事件が、あまりにも悲惨な事件で、しかもようやく捕まえた犯人は、ある理由で釈放されてしまうという、何だか救えないストーリーで前半は展開します。(ただし、スタジアムで犯人を捕まえるシーンは、スタジアムの俯瞰カットから逮捕までが一気につながるものすごく緊迫感のあるシーン!)
主人公にも、その女上司にも、被害者にも、そして犯人にも25年という時の流れは同じように流れるわけですが、その流れ方はそれぞれで全く異なるわけです。当たり前のことですが。
何かつらいことがあった時、人は「時が解決してくれる」といいますが、果たして、皆にとってそれは言えることなのか…。考えさせられます。
サスペンス仕立てながら、実はラブストーリーでもある。激しい情念を感じさせる場面もあれば、感情を押し殺して向き合う場面もある。まるでアルゼンチン・タンゴのように、人間のいろいろな感情が織り交ぜられた一本です。
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