「僕らは血液レベルで鳥山先生が大好きだから。」

このコーナーでは、株式会社ラクパのライター・城戸あづさが、心に留めておきたい言葉とのエピソードを綴ります。

Dr.スランプ/ドラゴンボール

「僕らは血液レベルで鳥山先生が大好きだから。」

─尾田栄一郎

『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』などで日本の漫画界を牽引してきた鳥山明さんが急逝され、多くの著名人が追悼メッセージを発表しました。その中で最も私の心に響いたのは『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎さんの文章です。

我々に「友達」という言葉を使ってくれた帰り道、岸本さん(『NARUTO -ナルト-』作者の岸本斉史)と盛大にはしゃいだ日も懐かしいです。

漫画なんて読むとバカになるという時代から(中略)漫画ってこんなこともできるんだ、世界へ行けるんだ、という夢をみせてくれました。

秀逸なのは、読み手が想像できて共感できるエピソードの選び方。憧れの人に「友達」と呼んでもらえた時の嬉しさや、その人の活躍で自分の夢も膨らむ心情は、誰にでも想像に難くありません。
冒頭の言葉は少々技巧的ですが、それまでの文章で読み手の心情は尾田さんと同化していますから、「血液レベルで好き」と言われても大袈裟には感じないのです。

伝えたいものが強いほど、私たちは自分の感情で頭がいっぱいになりがちです。そんな時、読み手の心情を配慮する優しさが、心に響く文章の決め手となるのではないでしょうか。(あづさ)

この記事を書いた人
Azusa

株式会社ラクパ専属ライター。タウン誌≪シティ情報ふくおか≫編集者として、特集のほか、地元のテレビ番組・お笑い・祭りのページなどを担当。地域色豊かな誌面作りを目指す。2006年、ニュースレター作成代行「ラクパ」のライターとして活動開始。クライアントの個性を活かし、顧客づくりのための原稿を執筆中。趣味は競泳、専門種目はクロール。マスターズ大会での自己ベスト更新を夢見て、仕事と家事の合間にトレーニングに励む毎日。

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