今月観た映画は2本。「告白」と「マイ・ブラザー」。
どちらもそれぞれ独自のテーマで描かれた映画ですが、同じ日に観たこともあって、2つに共通のテーマが見えてきました。
そのテーマとは、「愛するもののために、人はどこまでダークサイドに堕ちることができるか」。
愛するもののために人がダークサイドに堕ちる話は、私の大好きな映画、スター・ウォーズ・シリーズ epi.1?3の根底を流れるテーマでもありましたが、今回のこの映画でも非常にシリアスに描かれております。
「マイ・ブラザー」は、戦地での体験によって心に大きな傷を抱えて帰還した兄の苦悩と、それを受け止めようと葛藤する弟、そして兄嫁の話です。
トビー・マグワイア演じる兄・サムは、アフガニスタンの戦地で敵の捕虜となり、そこで大きな犠牲を払って、愛する妻のもとへ戻ろうとするわけですが、結果的にそれによって人格崩壊してしまうわけです。
過酷な戦場がいかに人を人でないものにしてしまうのか。目をそむけたくなるような描かれ方がされています。
トビー・マグワイア=「スパイダーマン」という先入観を持っていましたが、いやいやそれはとんでもない誤解で、非常に演技派なのが分かりました。
この映画の本来のテーマは、家族愛、兄弟愛なので、映画はそれを存分に感じさせるエンディングを迎えます。
そしてもう1本の「告白」。
自分が受け持つクラスの生徒に娘を殺された女性教師が繰り広げる復讐劇です。「告白」というタイトル通り、事件に関わった登場人物たちそれぞれの視点から綴られていくというスタイルです。
スローモーションを多用した映像が非常に美しい! 美しくおぞましい映画です。
愛する娘を亡くした教師が、その復讐のために「人」でなくなるわけですが、こちらは「マイ・ブラザー」のトビー・マグワイアと違い、ほとんど感情をあらわさず、ほとんど能面のような表情。逆にそれがものすごく恐い。
(以下の一文、ちょっとネタばれあります)
この映画、とにかく松たか子の演技が凄味があります。途中ファミレスで、ある生徒から話を聞くシーンがあり、そのファミレスを出た後の松たか子の演技は忘れられません。おそらく「人」を捨て、「鬼」になることを選んだシーンだと思いますが、そこから先は容赦なく犯人を追いつめていきます。
高校一年、中学一年の息子を持つ親としては、非常にいや?な印象を受けるシーンが散りばめられており、「これはフィクションだから」と自分で自分を何度も納得させながら観てしまったりするわけで、実際のところ決して後味の良い映画ではありません
が、映画としての見応えはものすごくあります。おそらく今年の邦画の各賞を受賞することになるでしょう。とにかく気迫の感じられる映画でした。
「マイ・ブラザー」上映館:KBCシネマ
「告白」上映館:市内多数。
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